TAKUMIBA BRAND STORY①ブランドと福山の歴史を紐解く

TAKUMIBA BRAND STORY①ブランドと福山の歴史を紐解く

TAKUMIBAのブランドアイデンティティをお伝えする、「BRAND STORY」

第一回は、70年前にカシミヤニットメーカーとして生まれたTAKUMIBAの歴史、

そして、繊維産業で有名な福山という土地についてご紹介します。

 

Index

●服の産地として栄えた福山の歴史

きっかけは豊かな水源

派生していった繊維産業

高級デニム生地の50%を製造する地域に

●「パンツに新しい選択肢を」TAKUMIBAの歴史

日本有数のカシミヤ糸メーカー

ニットからパンツへ

「カットソーパンツ」という新領域へ

 

 服の産地として栄えた福山の歴史


福山市は、広島県の最東部に位置する、人口50万人弱の都市。

古くから繊維業で栄えた町であり、私たちTAKUMIBAの「DESIGN & FACTORY」も活動を行っている場所です。

そんな福山は、どのようにして日本を代表する繊維業の産地になったのでしょうか。

まずは、その歴史についてご紹介します。

 

きっかけは豊かな水源


福山市には、「芦田川流域」という流域面積860km²の一級河川が流れています。

古くから、福山の生活に恩恵をもたらしていた芦田川流域では、初代福山藩主の水野勝成によって綿花の栽培が推奨されたことで、日本有数の綿花の産地となりました。

当時、綿花は日本では栽培されておらず、富裕層の手にしか渡らない高級な輸入品だったそうです。

その綿花栽培に着手した福山は、1850年に備後地方で初めて絣(かすり)の技術を確立。

備後絣は、久留米絣、伊予絣と並び、日本三大絣の一つとして、地位を築いていったのです。


※古くから福山に伝わる備後絣
福山市ホームページより

 

派生していった繊維産業

備後絣は特定の地域だけでなく、福山全体の産業として発展させるべく、絣の製法が地域の人々に伝授されていきました。

備後で絣織りは瞬く間に広がっていき、備後絣は鞆の浦港から出荷され、日本中で普段着として着られるようになっていきます。

技術が浸透すると、備後絣からモンペを作る人が増え、
そこから、軍服→制服→ワーキング作業服など、さまざまな形に派生を遂げていきました。

国産高級デニム生地の50%を製造する地域に

その後、洋服の流行によって製造は縮小しますが、備後絣の技術はデニムや作業着などの服飾に活かされていきました。

服飾の活動は途絶えることがなく、福山は現在でも、仕立ての専門工場が集積した特徴的な地域になっています。

これは全国的にも珍しく、繊維の町と呼ばれる大きな理由のひとつです。

国産高級デニム生地の約50%は福山で製造されているなど、繊維産業で大きな影響をもたらし続けています。

 

 「パンツに新しい選択肢を」TAKUMIBAの歴史

 
私たち、TAKUMIBAの工場を構えているのも福山市です。

それでは、どのようにして現在の服づくりにたどり着いたのか、その歴史についてお伝えします。

 

日本有数のカシミヤ糸メーカー


TAKUMIBAの歴史は、深喜毛織という100年以上続くカシミヤニット屋の分家から始まります。

もともと、大阪南部に位置する泉大津は、ニットの産地として有名でした。

カシミヤ糸メーカーとしてニット製品に携わりながら、繊維産業の新たな可能性を求めて、福山市の特色を活かした工場を新設したという経緯があります。

 

ニットからパンツへ

自社ブランド品を中心に製造していたTAKUMIBAも、さまざまな事業展開を経験してきました。

老舗ブランドならではの高品質・迅速な納期などの強みを活かし、徐々にOEMや製造依頼の事業がメインに。

今では、百貨店に並ぶ有名ブランドの製品を担うようになり、福山工場での事業はますます活発になっています。


パンツ製品をメインに行うようになったのは、約40年ほど前からです。

企画力や品質管理など、セーターで培った技術をそのままパンツに活用。

はき心地の良さからリピート率が高く、「ニットの老舗メーカーが手掛けるパンツ」という、独自の技術を活かした製品をお届けしています。

 

「カットソーパンツ」という新領域へ


しかし、ニットメーカーがつくるパンツには課題も多くありました。

ニット以外の生地は、裁断面がほつれないようにロックをかける必要がありますが、ニットにはその工程がありません。


一般的に、ニットをメインとしたパンツは珍しいとされています。

ジャージなどが代表的ですが、カジュアルパンツとしては有用性が高いものの、フォーマルな場では馴染みがありません。

そこに、ニットの老舗メーカーならではの技術を注ぎ込み、新しい領域を開拓することに成功したのです。


誕生したのは、「カットソーパンツ」という新しいジャンルのパンツ。

TAKUMIBAはこのようにして、

カシミヤ糸メーカーとして、自社ブランド製品をリリース

福山にも工場を構え、OEM事業などを展開

老舗ニットブランドの技術を活用し、パンツの新領域を開拓

という、変遷と発展を遂げてきました。

 

次回の「BRAND STORY」では、カットソーパンツの誕生秘話についてお伝えします。




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